6 松井さんの宝物

松井さんの宝物 松井さんの宝物 松井さんの宝物
つくり手松井正行まつい まさゆき
レコメンバー武田和恵たけだ かずえ

推薦文

松井さんは1日1本毎日飲んでいるペットボトルのラベルを集めるのが大好きで、いつもは部屋のタンスに大事にしまって宝物にしています。大好きなものを人に伝えることができると、より松井さんらしさが伝わります。

福祉施設で暮らす松井さんは、自室の衣装ケースにたくさんのペットボトルのラベルや日常で使ったものを丁寧にしまっていて、スタッフはそれを「松井さんの宝物」と呼んでいる。ボーダレスアートの公募展を企画していた武田さんが、「宝物を人に見せてみない?」と提案すると、松井さんは、その宝物を自ら画用紙に貼り付け、誇らしそうに胸元に掲げて見せてくれたという。
松井さんにとって、1日に1本飲み物を買うという行為は、自ら好きなものを選ぶことができる貴重な機会としてあるのかもしれない。ラベルにはどれも同じように、ぎゅっと引っ張られたのちに丁寧に伸ばされた跡があり、松井さんなりの手順を経た上で保管されていることも想像できる。
その後、公募に出されたこの作品を見た人からは、「現代の消費社会のありようを見せてくれている」など、予想もしなかったような多様な意見が出たという。