4 漫画『トホホ育児日記』 『トホホ福島日記』

4 漫画『トホホ育児日記』『トホホ福島日記』 4 漫画『トホホ育児日記』『トホホ福島日記』
4 漫画『トホホ育児日記』『トホホ福島日記』
つくり手赤城修司あかぎ しゅうじ
レコメンバー小森はるかこもり はるか

推薦文

震災後の日常を綴った『トホホ福島日記』は、震災前から描いていた『トホホ育児日記』の延長に生まれた。なんでもないことを切り取りたいという赤城さんだからこそ、放射能に触れる会話にもユーモアがあり、この瞬間を忘れたくないと思う父親の目線で福島の日常が記録されている。

福島市で高校教員を勤めながら写真家として活動する赤城さんは、ふたりの娘さんの保育所の連絡帳にイラストを描いたことがきっかけで、彼女たちを中心とする家族の日常を絵で記録するようになった。保育所の先生たちが楽しみにしてくれていたことが原動力となり、徐々に漫画の形へと発展。赤城さんはいつも身に着けているウェストバッグにぴったりの自作のネタ帳を持ち歩き、忙しい日も欠かさず描き続けていたという。

レコメンバーの小森さんは、企画に携わった展覧会で、震災後に発表された『トホホ福島日記』に出会う。漫画が生まれた経緯や、「文字では抜け落ちてしまうことが絵なら残せるかもしれない」と娘たちの着ていた衣服や見ていたアニメもその通りに描き込まれていることを知り、“なんでもない”日常を記述する術として漫画を描き続けた父親の思いに惹かれたという。小森さんは、赤城さんの漫画は、読む人にとっても震災前と後の日々を地続きにしてくれる大切な記録であると感じている。