50 出張「海辺の写真展」

出張「海辺の写真展」 出張「海辺の写真展」 出張「海辺の写真展」
つくり手佐藤豊さとう ゆたか
レコメンバー小林美香こばやし みか

推薦文

「荒浜を好きになって帰ってもらいたいんだっちゃ」と豊さんは言う。豊さんの写真には「荒浜が好き」という思いが詰まっている。そしてそれを見た人は、荒浜に行きたくなる。荒浜に行った人は、荒浜が好きになる。「荒浜が好き」のループは、つながってゆく。

仙台市・荒浜生まれ、荒浜育ち。現在は『海辺の図書館』メンバーとして活動中の佐藤豊さん。震災当時、豊さんは被災したまちを無意識の内に撮影しながら、同時にその風景の中にある美しいものもカメラに収めていた。その後、撮った写真をベニヤ板に貼り付けてお寺の前で飾っていると、「おらいに古い写真あるよ」と、見た人が震災前のまちの写真を持ち寄ってくれるようになったという。

毎年夏には、そうして集まった写真と自分の写真を流木と一緒に並べたり、網にくくりつけたりして展示し、深沼海岸で写真展を開く。「かつて撮影された自然風景の中に、それを写した写真が並べられていて、不思議と一体感がある。その空間がすごい」。レコメンバーの小林さんは、砂浜での写真展を訪れ、そう感じたという。

豊さんは仙台まちなかのギャラリーを借りて出張展示も開き、訪れた人たちに荒浜の魅力をにこやかに語り伝えている。「もともと荒浜に住んでいた人たちがいつかふるさとに帰って来るときのために」という豊さんの思いも込められながら、写真展は各地を巡回している。