44 かえりびな

かえりびな かえりびな
つくり手茂村ひとみしげむら ひとみ
レコメンバー増田芳雄ますだ よしお

推薦文

箱根町の旅館の仲居・茂村ひとみさんは、東日本大震災後、沿岸部の仮設住宅や市民センター等を何度も訪れ、少しでも被災者の心の復興につながればと、『かえりびな』作りを教えてきました。作品を展示し、津波犠牲者や行方不明者を忘れないための活動も続けています。

<還りびな>はもともと、還暦を迎えた女性に贈られるおひな様で、それまでの人生をリセットして再出発できるという言い伝えがある。
震災の年の秋、茂村さんの働く箱根の旅館に宿泊していた、仙台で被災したお客さんから、「東北では津波に流されて未だ見つからない人がたくさんいる」と聞いたことをきっかけに、茂村さんは、「行方不明の人たちが家族のもとに帰れますように」と願いを込めて、仮設住宅などを訪ね、地域の人たちと一緒に『かえりびな』を作り始めた。
レコメンバーの増田さんは、2015年、仙台でのかえりびな作りに初参加。以降、仙台近郊で開催される、行方不明者とおよそ同数の2600体のかえりびなを展示する『お帰りなさい展』をサポートしている。
「こっちの人でさえ8年経ったからもういいんでねえかってなりそうなところを、茂村さんは箱根から今も気持ちを寄せて、かえりびなを作り続けているのは本当にすごいことだ」
かえりびなの活動は、増田さんにとっても大切なライフワークのひとつになっている。