37 江崎さんのボールペンソロ

江崎さんのボールペンソロ
つくり手江崎將史えざき まさふみ
レコメンバー山路智恵子やまじ ちえこ

推薦文

数年前に大阪で一度だけ観た。テーブルに大きな白い紙、10人ほどの客。一定のリズムで円が描かれ、気づけば腕の長さ程のドーナツ状に。江崎さんが操る時間・空間と百均ボールペンの存在が鶏と卵の関係にみえそうなところで我に返る。今度は仙台で観たい。

音楽ユニット・popoのメンバーであるトランペッターの江崎將史さんは、トランペットを解体して特殊な奏法を開発したり、多様なミュージシャンとセッションをしたりと、独特な音楽活動をおこなっている。また、アルミホイルや炭酸水、テントなどを用いた即興のソロシリーズも展開。数年前に大阪でボールペンソロを見た山路さんは、ボールペンと江崎さんとの関係性の中で音が発生している状態や、空間への響き方、行為そのものに興味を持った。 今回展示した映像は、ボールペンソロがいったいどんな営みなのかを探りたいという山路さんの思いと、江崎さんの「僕ではない誰かがやってみるというのは?」というアイデアが交差し、実践されたソロ演奏の記録である。開始前に、「見ていた自分がなぜあんなに惹かれたのかを知りたい」「何かを生み出しつつ、壊しているような感じもする」と話していた山路さんは、終了すると「ずっと続けていられる、すごく充実した豊かな時間だった」と感想を語ってくれた。