35 たくわんのあさづけ

たくわんのあさづけ
つくり手本田 正ほんだ ただし
レコメンバー佐竹真紀子さたけ まきこ

推薦文

色と形の美しさに惹かれてタイトルを見ると、誰もが「えっ?」と驚く、本田さんの作品。じっくりと時間をかけてものを作る本田さんですが、今回の作品は急遽仕上げたために「あさづけ」になったとのこと。生真面目さとユーモアの絶妙なバランスを感じます。

コースターを1枚1枚彩色し、積み重ねて作られている「たくわん」。本田さんは福島県の自宅で実際に野菜を育てていて、本物の大根も漬けている。畑の作物が規則正しく並んでいる様子にインスピレーションを受けたり、手間暇をかけてものを育てる過程を楽しんだりと、本田さんにとって、農業と作品制作は通じるところがあるようだ。
アーツ千代田3331で開催されている『ポコラート全国公募展』での受賞は彼にとって大きな転機になっていて、会場ではフランス人の鑑賞者が『たくわん』を囲み、「amazing!」と盛り上がっていたという。
自身も作家であり、モチーフを人工の素材でつくりあげ作品にする佐竹さんが、『たくわん』の噂を聞きつけ、実物を見てみたいとお願いしたところ、本田さんから、すぐに今回の出品作品『たくわんのあさづけ』が届けられた。よく見ると、途中から淡い黄色で塗り分けられている。作品を見る人にとっての“笑い”を大切にするユーモアが作品には散りばめられていることに気づいたと佐竹さんは語る。



はじまりアーカイブス「fukushima file」 本田正