24 母のつくるキルトシリーズ

母のつくるキルトシリーズ 母のつくるキルトシリーズ
つくり手庄司みつ子しょうじ みつこ
レコメンバーしょうじこずえ

推薦文

私の母は日々仕事と家事に追われている。そんな忙しい僅かな時間の合間にコツコツ作っているキルト群。ただチクチク縫っていることが現実を忘れられる唯一の時間だという。母は、作家として生きている私に多大な影響を与え続けてくれている人でもある。

ナチュラルカラーの同系色で配色されている、みつ子さんのキルト。みつ子さんは学生時代に先生から、「色使いが個性的で面白いね」と褒められていたこともあり、自らの持つ色彩感覚を大事にしてきた。娘のこずえさんが幼い頃にも、「自分が思ったように、好きな色を塗ればいいんじゃない」とアドバイスをしていたという。みつ子さんがキルトを作るようになったのは、こずえさんが美大に通い、作家活動を始めた時期とほぼ重なる。
こずえさんもまた、みつ子さんのハギレを見て、自身の作品素材に布を取り入れ始め、互いに気に入った布をシェアするなど、影響を与えあう仲となった。仕事や主婦業の合間で糸と針に触れている時間は、みつ子さんにとって、生活の苦労から離れてホッとできる瞬間だという。
今回の展覧会では、みつ子さんから作品づくりについての話を聞いたこずえさんが、母のつくったタペストリーで使われているものと同じ布で仕上げたという得意の動物モチーフの新作も展示している。