23 Yさんの描く膨大なクレジット

Yさんの描く膨大なクレジット Yさんの描く膨大なクレジット Yさんの描く膨大なクレジット Yさんの描く膨大なクレジット
つくり手Yさん
レコメンバー梅津元昇うめづ もとのり

推薦文

福祉作業所に入所しているYさんは、アニメやゲームが大好き。何も見ずに映画やアニメの<提供>や、エンドロールのクレジットを1日中書き続ける。フォントにまでこだわったそれは、“書のようなもの”にすら見える。

ジェームス・ディーンに仕草が似ているというYさんは、大きなカバンいっぱいに好きな映画やアニメのDVDを詰めて通所してくるが、内容については多くを語らない。
そんなYさんが、銅線剥きや掃除の仕事の合間に暇さえあれば書いているというクレジット。大きな紙の方が気合いが入る様子で、1日に4〜5枚、多い日には10枚も書き上げるという。フォントやロゴは精密な再現でありながらも、よく見ると、漢字の画数が一画増えていたり、特定の字の書き方が変わっていたりと、Yさんなりのルールがある。
Yさんが所属する作業所でスタッフをしている梅津さんは、まるで繰り返し書をしたためているかのようなYさんの行為と、それによって生まれる膨大な物量に魅力を感じていて、増え続ける創作物をどう扱うか迷いつつも、発表の場を探すことでサポートをしている。ちなみに、梅津さん自身も詩の創作をしており、表現を考える人がそばにいることが、Yさんの創作行為にもなにかしらの影響をあたえているのかもしれない。