18 りえさんの祈り

りえさんの祈り りえさんの祈り
つくり手庄司りえしょうじ りえ
レコメンバー小山田美奈子おやまだ みなこ

推薦文

大好きな人に手渡すしおり。よく見ると祈りのことばが見つけられる。しおりの数だけ祈りが届けられ、相手からありがとうが返ってきたとき、りえさんは急におしゃべりになる。互いの心の扉を開くカギが、このしおりにはあるようだ。

緊張しいだけど実はおしゃべり、そして人のことをよく見ているりえさん。話したい相手に贈るしおりは、紙に穴を開けて紐を結ぶまでを作業所の職員や家族が一緒におこなう。りえさんは、人目に触れないところで言葉や絵を書き込み、こっそりと相手に手渡すのだそう。書かれるメッセージは、応援や労りの言葉が多く、教会に通うりえさんにとって馴染みの深い聖書からの引用もある。
昨年度までりえさんの通う作業所で働いていた小山田さんは、貰ったしおりを大切に保管し、一部を職場のデスクの上に並べていた。それを目にしたりえさんが、毎日のようにしおりを持ってきてくれるようになり、しおりを介してするささやかな会話がふたりの楽しみになった。「仕事おつかれ」「実家行ってる?」「旦那さんと仲良くね」りえさんの祈りは、しおりを贈る相手だけではなく、その家族や関わりのある人たちへも広がっている。「(小山田さんも)誰かを想う行為を大事にしてね」という祈りも込められているのかもしれない。