16 あたたかいせかい



つくり手 | 工藤生くどう いくる |
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レコメンバー | 工藤史くどう ちかし |
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推薦文
彼の描くせかいはあたたかい。彼のコトバはつたないけれど、彼の描くせかいは目をとびこえて気持ちにとどく。描くものがなんであれ、そのせかいは乱雑で単純であたたかだ。だからこそ、私はとてもいとおしいとおもうのだ。そのせかいをみなさまにものぞいていただけたら、これにまさるよろこびはない。
7年ほど前から通所している作業所で、生さんは1日に2枚のペースで絵を描いている。ヒアリングの際に持ち込んでもらった生さんの作品を1枚ずつ捲りながら見ていくと、生さんの描く線とは違う印象のものが数枚混ざっていた。「これも生さんのものですか?」と尋ねると、父・史さんと生さんは、「〇〇くんのだ」と言って顔を見合わせて笑う。仲良しのメンバーとは互いに好きなものや興味のあるモチーフが影響し合うそうで、一緒に描くことを通して行われる楽しくてあたたかい“遊び”がその絵から感じ取れる。
史さんは、生さんが持って帰ってきた絵を見ることで、「生は世界をこんな風に見ているのかと、いつも新しい驚きと喜びがある」と話す。生さんが最近好きなものは電車や仮面ライダー、TWICEなど。テレビで観た映像でかっこいいと思ったものを記憶して平面的な絵にすることが多いそうで、線を重ねることで、ダンスや運動の“うごき”を描こうとしている3点を展示している。