1 まるい田んぼ

まるい田んぼ まるい田んぼ2
つくり手荒浜のめぐみキッチン
レコメンバー磯崎未菜いそざき みな

推薦文

海辺の町で開墾された「まるい田んぼ」では、みんなで育てた穀物を料理して食べたり、生き物の観察をしたり、田んぼをステージにして朗読会を行ったりする。その営みは、円の形のイメージと合わさって、私たちの生命が自然の中で循環することをふと想像させる。

東日本大震災後に仙台へ移り住んだ建築家と、荒浜の若手の農家が中心となって築いていった、まるい田んぼ。 自由な発想で丸い形の田んぼをつくろうとしたが、やってみるとその形状のために農機具を入れることができず、日々手作業での開墾となったのだそう。しかし、それによって地域との関わりしろが増え、次第に地域内外の市民や親子連れ、さまざまな表現分野で活動する人たちが集う場になっていった。

災害危険区域に指定され、住居が建てられなくなってしまった場所とどのように関わり続けていくか? と考えていた磯崎さんもそのひとり。当初、記録者として携わりはじめたが、現在はこの場がより身近になってきているという。虫の声しか聞こえないほど静かな田んぼで、地元の恵みをいただいたり、場の可能性を模索し生かしたりする営みは、その地の風景をつくっていくことでもあるのかもしれないと話す。